幻想文学大全

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企画展「幻想文学大全」

Part1
出展者:鹿子木美 スガミカ 高橋キンタロー 矢吹申彦 山本アマネ
期間:10月10日(金)~10月19日(日) 13:00-19:00(10月14日はお休み)

Part 2
出展者:清水沙 二宮佐和子 町田七音 水沢そら ミナミタエコ 矢吹申彦
期間:10月22日(水)~10月31日(金) 13:00-19:00(10月27日はお休み)

*フライヤー*
Illustration :矢吹申彦さん Design :高橋キンタローさん

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高円寺のウタカタカフェ&ギャラリーにて開催された
企画展に参加しました。
鹿子木美さん、スガミカさん、高橋キンタローさんという方々に加え、
スペシャルゲストに学生時代から大好きな、矢吹申彦さん。

文学をテーマにした展示は大学の卒業制作以来です。
いわゆる幻想文学という分野をあまり読んでおらず、
イタロ・カルヴィーノの『まっぷたつの子爵』や、内田百閒の『冥途』
ブラッドベリの『スは宇宙のス』やらと迷いながら、
ガルシア・マルケスの『予告された殺人の記録』
トーベ・ヤンソンの『聴く女』の2冊を選書して描きました。

どちらもリアリティのある小説ですが、日常の中にしれっと
現れる非現実、手紙にまつわるエピソード、女性の狂気じみた
ロマンチックさ。鳥肌が立つほど素敵な本です。
私がイメージをつけるまでもなく、文章だけで充分絵になって
いるのですが、原作への愛情が詰まっています。

DSC_0184『予告された殺人の記録』『聴く女』旧作ですがレイ・ブラッドベリの 『火星年代記』

DSC_0199

こちらも旧作ですが、『カート・ヴォネガット』  『ウィリアム・バロウズ』

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初めて小説という物を買ったのは中学生の時。
チャールズ・ブコウスキーの文庫である。
夢中になりすぎて歯が抜けるほど本が好きな、母の本棚のおかげで
それまでは自分で本を買う、ということがなかった。
初めてCDを買ったのも同じ頃で、ザ・ブルーハーツの「DUG OUT」
というアルバムだった。メンバーである真島昌利氏の文章の中で、
初めてチャールズ・ブコウスキーという人を知った。
その時、「わたしも、ブコウスキーを読むぞ!」 と奮い立ってみたものの、
家で見つけた『町でいちばんの美女』 や 『ありきたりの狂気の物語』
などは女子中学生にはピンとこないタイトルだった。
そこでその夜、母親の車に乗って少し遠い本屋さんへ出掛け 「これだ!」
と選んだのが、『くそったれ! 少年時代』 これまでの読書とは違った体験が
出来るだろう!と、意気揚々と読み始めたのはいいが、主人公おそらく、
ブコウスキーの子供時代である少年の、思春期の生きにくさがあまりに
生々しく思え、つらく痛い思いがした。
初めての読書体験になったことは確かだが。
それ以降エッセイや詩集は好きなものの、ブコウスキーの小説に関しては
ずっと敬遠してきた。
それを言うと、ガルシア・マルケスの 『百年の孤独』 も途中でほっぽって
しまったのだ。ジャック・ケルアックの 『路上』 もだ。情けない話だ。
百年の孤独なんて最後まで読んでないくせに、読んでいないと人生
ちょっと損してる気にさえなる。

小説や詩の絵を描いていると、もっともっと本が読みたくなる。
出展者の方々の作品を見て、さらにそうなる。
ほっぽってきた文章とちゃんと向き合いたくなる。
展示を見た人が、今夜は本が読みたいなと思ってくれたら嬉しい。

ひとまず今は、中学生の頃ブコウスキーと同時期に読もうとして
15年ほど放置した『ダロウェイ夫人』 を読んでいる。
ヴァージニア・ウルフの文章は、日常のふとした瞬間の風景や
音や感覚が、生きて死ぬまでのそのものみたいに深く感じられる。
“人生なんて、バラ色どころのさわぎじゃなかったのよ”
そのあと百年の孤独を読もう。
読みたい本も観たい映画も聴きたい音楽も、まだまだ山ほどある。

 

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