1961年のグリニッジ・ヴィレッジで

「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」 監督:ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン 2013年 アメリカ

寒い冬のある日、トンプソンと三番ストリートの交差点のそばで、雲のあいまから太陽が弱々しく射していたのに突然の雪が散らつきはじめたとき、ヴァン・ロンクが凍りつくような静寂のなかを歩いてくるのが見えた。まるで風が彼をわたしのいるところに向かわせているかのようだった。わたしは話しかけたかったが、なぜかそうできなかった。ただ彼が過ぎていくのを眺め、彼の眼が輝いているのを見た。
———————————「ボブ・ディラン自伝」ボブ・ディラン 著 菅野ヘッケル 訳

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今日の日記

応召

こんな夜更けに
誰が来て
のっくするのかと思ったが
これはいかにも
この世の姿
すっかりかあきい色になりすまして
すぐに立たねばならぬという
すぐに立たねばならぬという
この世の姿の
かあき色である
おもえばそれはあたふたと
いつもの衣を脱ぎ棄てたか
あの世みたいににおっていた
お寺の人とは
見えないよ

山之口貘

————————————————–
かあき色=当時の軍服の色
召集令状がきて挨拶に立ち寄った僧の姿を見、戦争の矛盾を書いている。

山之口貘は一番好きな詩人だ。
何が起きても、起こらなくても、惑わされずに自分の目線で世の中を見ている。
無関心なのではなく、常に自分自身を含めた庶民生活の底から見続けている。
ただただ不安なことが多い毎日で、いまも山之口貘の詩を読むと少し勇気が湧く。

茨木のり子のエッセイ「一本の茎の上に」の中にもこの詩は紹介されている。
そこで山之口貘について、以下のように語っている。

狂気、異常、狐憑—–今ならばなんとでも言える一九四十年代、たいていの人が、こころの方は、
三十八度から四十度くらいの高熱を発し沸騰していた。からだのほうも栄養不足の結核で
微熱を発している人が多かった。そういうなかで心身ともに、平熱三十六度を保ちえた山之口貘の冷静さ。ふしぎである。

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心を形成する生活のすべて

『シンプル・シモン』 監督:アンドレアス・エーマン 2010年 スウェーデン


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誰かの悲劇

『ブルージャスミン』 監督:ウディ・アレン 2013年 アメリカ



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鶏が先か、卵が先か

「アデル、ブルーは熱い色」 監督:アブデラティフ・ケシシュ 2013年 フランス

彼女は生れ変わった。「あの人に夢中になってしまったの」と彼女はわたしに言った。
「どうしようもないほどにね」目を閉じさえすれば彼が見えた。海からはその息遣いが聞えた。ベッドで寝ていると、夜中に彼の体のほてりを感じて目が覚めた。その週末、一時たりとも落ち着くことができなかった彼女は、彼に最初の手紙を書いた。
———————-『予告された殺人の記録』  G・ガルシア=マルケス 著 野谷文昭 訳

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切端愛の美学

i Phone ケースを作りました!———————-ロベール・クートラスに思いを馳せる夜


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死なないでいることに必死で生きる

「ダラス・バイヤーズクラブ」 監督:ジャン=マルク・ヴァレ 2013年 アメリカ

———-夜も活用しなければなりません。わが友よ、あなたは〈死〉の顔について真剣に
考えたことはなさそうですね。なぜだかわかりますか? あなたは不断に力を振りしぼ
って生きていない。時代に先行し、時代を予見し、時代を睥睨する孤独な勝利のうちに
生きていないからです。わたしは覚醒している、いつも。短い眠りでみる夢の中でも仕
事を続ける、たえまなく。なにひとつ無為に失われてはならないのです。—————-
わが親しい友よ、どうか注意を傾けて聞いてください。飽きてはならない——–これに
尽きます。関心をなくし、投げやりになり、尊い好奇心を失ってはならない—–みずか
らを死に追いやるにひとしい行為です。じつに単純でしょう?
—————————————–「フェアプレイ」 トーベ・ヤンソン 著 富原眞弓 訳

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どこにでもある道

「ネブラスカ」 監督:アレクサンダー・ペイン 2013年 アメリカ


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間の空白期

「コーヒーをめぐる冒険」 監督:ヤン・オーレ・ゲルスター 2012年 ドイツ


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言葉の重さ 本の重さ

「ドストエフスキーと愛に生きる」 監督:ヴアデイム・イェンドレイコ 2009年

(柴田元幸さん関連の本。そのほんの一部。)

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