ある少年のクロノロジー

edwin
「だってほら、どっちを向いても言葉だけだろ。どこまで行っても言葉なんだ。言葉って何だかわかんないよ。でも、とにかく言葉は言葉なんだ。あっちを向いても、こっちを向いても、言葉、言葉、言葉……」

スティーヴン・ミルハウザー 「エドウィン・マルハウス」

子供時代の読書のようにワクワクする言葉の冒険。
あらゆる場面を思い出す度に愛しい笑いが吹き出して、同時にとてつもなく悲しくて涙が込み上げてくる。
刹那の輝きに浸っていると、いや待てよ…と、不気味な熱狂を潜めた少年の世界に引きずり込まれる。
ふう!伝記作家って、悪魔だな。ジェフリー、君は恐ろしいよ!
けれどそれよりも、ガラスのコップたっぷりに注がれたオレンジジュースや、黒と紺のグラデーションが、ブルーと白が溶け合う空を侵食していく、あの昼とも夜ともつかない空を見るたびに、エドウィンの日々や、自分自身の子供時代のことを思い出すよ。
素晴らしい小説をありがとうございます。心から。

カテゴリー: book   パーマリンク

コメントは受け付けていません。