フリオ・リャマサーレス 『黄色い雨』
深い暗闇が延々と続くような物語なのに、空気は澄み切っている。 頭に浮かんでくる色は常に透明感をもって、幾重にも広がる鮮やかな色彩が、自然光や雨に透けて輝いている。 忘却がこんなに美しい情景ならば怖くないのに。と思いながら読み終わると、この小説が失われた人々に捧げる鎮魂歌であると解り、感動が一層深まった。
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